今回はこんな疑問を持つ方へ向けての記事となります。
筆者のプロフィール
・元消防士で現在はフリーランス
・倍率20倍消防局に合格
・公務員試験3回合格
ですので消防に関する試験対策や内部事情については精通しています。
この記事で解決できる疑問
まず始めに結論です!
①倍率は毎年変動するので注意
②考えなしに低倍率本部に入るのは危険
③ズバリ、受かりやすい地域は…
→福井、島根、愛媛、栃木、三重
それでは詳しく解説していきます!
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消防士に受かりやすい地域の条件は?
まず試験倍率は変動することを知る
まず知っておいていただきたいことは、試験倍率は毎年変動するということです。
つまり例年低倍率で推移している本部でも、退職者が少ない場合や志願者が多い年だと、急に倍率が跳ね上がることもあります。
「ここは来年も倍率低そうだな」という予想を立てることが大切
まずは受験先の過去数年間の倍率を調べます。
そして他の受験候補の消防本部も同様に、いくつか倍率の平均値を出し精査してみください。
ここまで下準備をしてようやく「低倍率の消防本部」が見つかることになります。
消防士に受かりやすい地域①:低倍率である
消防士の倍率は高い!
消防士に受かりやすい地域の条件の一つ目は低倍率であることです。
近年の消防職員採用試験は高倍率が当たり前で、低くとも4倍以上という本部がほとんどです。
詳しくは『【2022年版】消防士の試験の難易度はどのくらい?元消防士が具体的に解説します。』の記事で解説しています。
政令市やその他中核市などの有名な消防本部は、まず間違いなく高倍率です。
なので「低倍率の消防本部=あまり名の知れていない本部」という条件と相関がありそうです。
消防士に受かりやすい地域②:試験が簡素で低難度
受かりやすい地域の条件の二つ目として、試験が簡素であるという点です。
具体的に以下のような試験の流れは簡素であると言えるでしょう。
・2次試験までしかない
・筆記と個人面接のみ
・筆記がSPI
試験項目が少ないということは、採用のふるいにかけられる回数も少ないということです。
つまり試験期間において、次に控える試験項目に一点集中しやすいというメリットがあります。
筆記試験がSPI系の短時間型だと、筆記のハードルは下がります。
従来のような120分50問型のような教養試験とは違い、SPIはマスターできるまでの期間が短く済むからです。
代表的な筆記試験のタイプ
・教養試験(Light、ロジカル)
・SPI
・Webテスト
・SCOA
なので受験先の受験案内をよく確認し筆記の試験時間などから、教養試験/SPI/webテスト、どのタイプなのかを判断することが重要です。
またこの中で最も実施率の高い教養試験のオススメ参考書は『【倍率20倍合格者が厳選】消防士の筆記対策!参考書ランキング8選!』の記事で解説しています。
消防士に受かりやすい地域③:田舎消防本部
消防士に受かりやすい地域の条件の3つ目として田舎消防本部であるという点です。
田舎消防本部が受かりやすい理由は以下の通りです。
・そもそも志願者が少ない
・人手不足により採用者が多い
・有名な本部に流れやすい
とにかく消防士になりたいなら、田舎消防本部は狙い目です。
田舎自治体では、少子化や人手不足が慢性的な問題となっている傾向なので、倍率も低く志願者自体が少ない本部が多いです。
倍率2~3倍といった本部や、中には定員割れする場所もあります。
こういった本部はかなり影が薄く名の知れていない場所がほとんどですが、とにかく消防士になりたい方、場所を選ばなくても良いという方は受験するのもアリです。
【低倍率編】消防士に受かりやすい地域5選
【注意】どのような基準で選定したか
①各都道府県内の低倍率本部の多さ
②超低倍率の本部を含む都道府県
③各都道府県の市職員受験者数
選定基準の一つ目は、都道府県内の倍率の低い消防本部の数の比較によるものです。
ほとんどの消防本部が高倍率な都道府県もあれば、反対に全体的に低倍率の都道府県もあります。
つまり選定基準の1つ目を噛み砕いて説明すると、他県と比較して倍率の低い消防本部が多い都道府県を採用しているということになります。
選定基準2つ目は、超低倍率の本部を含む都道府県です。
したがって、同都道府県内に超高倍率の消防本部が含まれていても、厳選として採用している都道府県も含まれます。
市町村職員(行政)受験者の数と消防職員の受験者数は相関があります。
ですので過去5年間の市町村職員の受験者数のデータを元に、受験者数の少ない都道府県もこの厳選に採用しています。
ちなみに過去5年間の受験者数は、地域ごとに例年ほぼ同程度の数に推移しています(筆者調べ)。
ここで参考にしたデータは、すべて各自治体のホームページより参照したものです。
過去数年間の採用案内や採用試験実施状況から情報を得たものです。
福井県
福井市消防局
倍率(R3年) | 大卒:3.1倍 高卒:2.5倍 |
---|---|
給与 | 大卒:194300円 短大卒:173900円 高卒:159500円 |
過去9年間の平均倍率は4.1倍、最低倍率は3.1倍となっています。
ちなみにここ3年間の倍率は2~3倍程度に落ちついています。
大野市消防本部
倍率(R3年) | 高卒以上:2.5倍 |
---|---|
給与 | 大卒:182200円 高卒:154900円 |
過去3年間の平均倍率は3.5倍です。
島根県
出雲市消防本部
倍率(R3年) | 高卒以上:3.8倍 |
---|---|
給与 | 大卒:182200円 高卒:150600円 |
浜田市消防本部
倍率(R元年) | 高卒以上:2.5倍 |
---|---|
給与 | 大卒:171700円 高卒:150600円 |
令和2~3年は採用募集を行っていませんが、直近数年間は2~3倍という低倍率に推移しています。
過去6年間の平均倍率は3.9倍、最低倍率は2.3倍です。
愛媛県
新居浜市消防本部
倍率(R3年) | 大卒:4.5倍 短大卒:3.5倍 高卒:2.5倍 |
---|---|
給与 | 大卒:182200円 短大卒:163100円 高卒:150600円 |
過去4年間の平均倍率は3.7倍、最低倍率は2倍です。
栃木県
栃木市消防本部
倍率(R3年) | 高卒以上:約3倍 |
---|---|
給与 | 大卒:199000円 短大卒:183700円 高卒:169900円 |
過去6年間の平均倍率は4倍、最低倍率は2.5倍です。
ここ3年間の倍率は2.5~3.9倍に推移しています。
佐野市消防本部
倍率(R3年) | 高卒以上:3倍 |
---|---|
給与 | 記載なし |
データが少ないですが、令和2年度は倍率5倍に推移しています。
三重県
名張市消防本部
倍率(R3年) | 高卒以上:7倍 |
---|---|
給与 | 大卒:183912円 短大卒:164633円 高卒:152015円 |
令和3年度の募集は一人のため倍率が高めですが、過去4年間の平均倍率は3.5倍です。
最低倍率は1.6倍で、過去3年間は1.6~3倍に推移しています。
【厳選】消防士に受かりやすくてオススメな本部(大卒)
【注意事項】
・倍率の低さと給与の高さで選定
・なるべく全国各地から抽出
・倍率と給与は令和3年度現在のデータ
・データがないものは令和2年度の情報
船橋市消防局(千葉)
倍率:3.5倍 給与:218,960円
厚木市消防本部(神奈川)
倍率:5.8倍 給与:232,780円
新潟市消防局(新潟)
倍率:次年度採用4.4倍 9月採用2.3倍 給与:214,858円
名古屋市消防局(愛知)
倍率:4.2倍 給与:216,200円
池田市消防本部(大阪府)
倍率:例年4~6倍 給与:23,6000円
東広島市消防局(広島)
倍率:5倍 給与:201,600円
堺市消防局(福岡)
倍率:5.1倍 給与:211,100円(程度)
【厳選】消防士に受かりやすくてオススメな本部(高卒)
【注意事項】
・倍率の低さと給与の高さで選定
・なるべく全国各地から抽出
・倍率と給与は令和3年度現在のデータ
・データがないものは令和2年度の情報
船橋市消防局(千葉)
倍率:3.5倍 給与:185,808円
池田市消防本部(大阪府)
倍率:例年4~6倍 給与:約198,000円
富山市消防局(富山)
倍率:4.8倍 給与:181,795円
栃木市消防本部(栃木)
倍率:例年約3倍 給与:169,900円
静岡市消防局(静岡)
倍率:6.6倍 給与:159,742円
【消防士に受かりやすい地域】低倍率本部の注意点
受かればどこでもいい=後悔の入口
個人的には、とにかく消防士になりたいからといって低倍率の本部を狙うことはオススメしません。
なぜなら入ってから後悔する可能性があるからです。
・給料低すぎる
・人手不足過ぎてブラック
・有給が取れない
・出動や仕事が少なすぎる
・やりがいを感じられない
政令市や中核市など、規模の大きい消防本部だとある程度の体制が整っていますが、人員不足の田舎自治体ではこういった状況に陥ることがなきにしもあらず。
なので採用されてから後悔しないためにも、倍率が少し高くとも受験する本部は慎重に選ぶことをオススメします。
給料や待遇を要チェック
受験する前に自治体ホームページの採用案内から、給与や福利厚生を必ずチェックしましょう。
消防本部によってかなりバラつきが大きいので、特に田舎消防本部に関してはじっくり品定めすることをオススメします。
各消防本部によって給料格差がエグい…
同じ県内の消防本部によっても、給与の差はかなり大きいです。
どのくらい変わってくるかというと、手取り額は最高と最低で大体5万円程度は変わってくると思います。
詳しくは『【消防士の給料明細公開】元消防士が給料の本音を語ります。』の記事で解説しています。
もちろん都道府県によって違いはありますが、筆者の消防学校時代では、同期の間で手取り13万円〜21万円とかなりの格差がありました。
消防士になって不遇な扱いを受けないよう、少しでも規模の大きい本部を受験しましょう。
できれば政令市や東京消防庁がオススメです。
それが厳しければ、県内で最も規模の大きい本部の受験をオススメします。
田舎消防本部はブラックかも!?
田舎消防本部は基本的に人手が足りないこともあり、人員がカツカツです。
休みの日に招集があった場合は呼び出される可能性が高く、有給の取得も融通が効かないこともあるでしょう。
田舎ということは市町村の財政自体も、他の大都市と比べて弱い傾向にあります。
つまり財源の規模が小さいので、消防士の給料として入ってくるお金も少なくなります。
なので過疎化が深刻な地域や合併されそうな市町村は、受験を避けるようにしましょう。
結局は政令市か東京がオススメ
やはり大都市消防本部は福利厚生が充実しています。
給料も全国的に見て上位に位置している本部がとても多いです。
最近では高学歴な大学生までもが消防士の試験を受ける時代になりました。
それに加えて政令市の消防局は人員も多く、優秀な人材が増えています。
装備や技術など総合的な消防力のレベルが高いので、消防士になりたい方にとっては刺激的な消防ライフを送れるでしょう。
消防士になるには予備校に通うべき?
基本的に消防士の採用試験は独学でも十分合格が狙えます。
ですが以下に当てはまる方は予備校を検討してもよいかもしれません。
・お金を払えばモチベを保てる
・分からない問題を教えてほしい
・担任にサポートしてもらいたい
このような方は予備校の利用もアリです。
また消防士を目指す予備校については『【消防士を目指すならここ!】オススメの予備校4選と比較・口コミ』の記事で解説しています。
最近の予備校は面接対策や進路相談なども手厚く、サポートも充実しているためどこを選んでも間違いはないです。
【消防士に受かりやすい地域】まとめ
・試験倍率は毎年変動する
・受かりやすい地域の条件は以下
①例年低倍率である
②試験が簡素で低難度
③田舎の消防本部
・2022年に受かりやすい地域は
①福井県
②島根県
③愛媛県
④栃木県
⑤三重県
・後悔しないよう慎重に選ぶ
・給料や待遇をよくチェックする
・東京や政令市をオススメします
今回は2022年に受かりやすい地域について解説してきました。
近年倍率が高まっている消防士の採用試験ですが、全国を調べれば意外と待遇の良い本部や「穴場」が見つかることもあります。
また以下の記事もこれから消防士を目指す方の参考になると思いますので、ぜひご覧ください。