今回はこんな疑問にお答えします。
記事の信頼性
・公務員試験3回合格
・倍率20倍消防局合格
実際に消防士として勤務した経験があるので、消防の内部事情には詳しいつもりです。
この記事を読むことで「消防士になるために有利になる資格はあるのか」が分かるようになります。
この記事で解決できる疑問
まず始めに結論です!
①資格は必要ありません
②持っていてもほぼ有利にならない
③救命士の資格も同様
それでは詳しく解説していきます!
消防士になるには資格が必要?
結論から言うと、消防士になるために資格は不要です。
なぜなら消防士になるための条件は「公務員試験を突破すること」だからです。
「消防士を目指そう!」と思い立った初心者が勘違いしがちですが、消防士になるために資格は不要です。
消防士の採用試験は、点数制の完全なる実力勝負ということを理解しましょう。
また消防士になるための詳しいロードマップは『消防士になるにはまず何から始めればいい?元消防士が採用までの流れと試験対策を解説!』の記事で参照できます。
この記事では消防士になるための手順を1から詳しく解説しています。
「目指そうと思い立ったは良いが、何から手を付けていいか全く分からない…」という方はぜひ参考にしてみてください。
消防士になるために有利な資格はある?
【結論】ありません
正直なところ、持っていると採用に有利になる資格はありません。
理由を挙げると以下のような感じです。
①合格した後でも取得できるから
②合否は試験の合計点が最重要だから
③採用後に実用的な資格が少ないから
これに尽きます。
なので正直なところ、合格を目指すために資格を一つでも多く取ろう!という考えはナンセンスです。
消防に限らず「就活では資格が有利に働く!」と思いがちですが、公務員試験においてはほとんど役に立たないんですよ。
多くの公務員試験では、1次試験に筆記を設けている場所がほとんどです。
いくら資格を取ったり面接対策をしても、まずは1次を突破できないと話になりません。
その加点で合格を掴みにいくのは現実的ではありません。
なので力を注ぐべきは筆記対策であり、合格を目指すために資格を取ることは本質からずれていることを理解しましょう。
資格が採用に有利に働く稀なケース
ここまで資格の不要性について語ってきましたが・・・
「じゃあ資格が有利に働く場面って全くないの?」という疑問に対して、いくつかひねり出してみました。
①試験点数が同点の場合
②資格枠として募集している場合
①に関しては受験者AさんBさんがいたとして、試験点数が同率でなおかつ他に優劣をつける要素がない場合、資格が合否の基準となるケース。
②は、例えば「救命士枠」として採用募集を行っているような「資格所有者が足りません!」と全面的にアピールしている本部です。
このようなシチュエーションでは資格が有利に働きますが、前述した通りわざわざ資格加点を狙うより筆記試験の点数を伸ばす方が合格には効率的です。
資格を持つメリットはある?
実際のところ、試験に合格するうえで資格を持つメリットはほとんどありません…
どちらかというと、資格が活躍する場面は「採用後」に多い印象です。
消防関係にはどんな資格がある?
大型自動車運転免許
少し裏話をすると…
大型運転免許の取得はあくまでも「任意」ですが、半ば強制で取得させられるのが暗黙の了解。
なぜならいつどんな時でも誰もが消防車を運転できる組織体制が理想だからです。
なので人員が確保されている大規模本部などを除き、基本的に採用後数年で取得を催促されると思います。
おそらく一般的な本部では9割の職員が
大型免許取得者であると思われます
大型免許はそれなりに費用も掛かるので、本部によって取得の助成金がもらえる場合があります。
ちなみに助成金の額も本部によってまちまちなので、少ない補助金ですと若手にとっては痛い出費に…。
救急救命士
救急車には必ず救命士が同上するよう規則で決まっているので、この資格を持っていれば救急隊として消防人生を歩むことを約束されます。
ですが前述したとおり、試験に有利になることは考えにくいです。
救命士が採用に有利にならない理由として「エルスタ」の存在も大きいんですよ。
エルスタとは救命士を目指す消防職員が救急救命士の受験資格を得るために勉強・訓練する場所です。
なので全員が学びに行ける場所ではありません。
しかしこういった制度が整っていることは、消防士になってからでも取得できる資格であると言えますよね。
そうなると採用に有利になる資格とは言いづらいのが現状。
小型船舶免許
河川や湖などで水難救助事案が起きた時やボート・船舶などを使って救助活動を行う際に必要になります。
なので山岳地帯や都市部の消防士本部では活躍の機会が少ない資格です。
この免許も採用後に取得できる資格なので、採用試験前にわざわざ取りに行く必要はありません。
ただ船舶免許取得者は少ないので…
こういった地域を含む本部では、免許を持っていると部署異動に関係してくる可能性があります。
潜水士
多くの場合は水難事故や洪水による災害などが起きた際に活用できる資格。
災害現場(水中)で救助活動や作業を行うことができる証明になります。
しかしやはりこれも活用範囲が限定的で、採用試験に有利になることはほぼありません。
東京消防庁などでは水難救助専門の部隊が発足されています。
ちなみに毎年募集がかかって倍率は約3倍程度だそう。
玉掛け・小型移動式クレーン運転士
レスキュー隊が乗る「救助工作車」という車両にはクレーンが積載されており、これを現場で操縦する際に活用する資格です。
もちろん採用後にも取れますし、この免許の取得にかかる期間が数日間という手軽さです。
前述した通りこの資格は、救助工作車やクレーンを操作する際に必要になる資格です。
なので…
こういった場合は活躍の機会がない資格となります。
危険物取扱者
甲種・乙種・丙種と分かれていて、そこからさらに細かく区分されていますが、消防業務で活かせることはほぼありません。
消防は様々な事務所や建物に訪れて防火上の不備がないかを点検しに行きます。
その際、険物を保有している場所において適正なアドバイスや管理状況を把握できたりします。
ぶっちゃけその程度だと思います・・・。
火災原因調査や危険物火災で
知識が活用できるとされていますが
そんな場面は一瞬だけです
しかし規模が比較的大きい本部で危険物関係の部署がある場合には必須になることもあるかもしれません。
予防技術検定
なのでこの資格を持っていれば、予防関係の部署に配属になることもあり得ます。
特に大規模な本部で職員数もそれなりにおり、部署が専門化しているような消防本部では予防の道に進むきっかけとなるかもしれません。
またこれまでの資格と同じように、採用後も取得が可能なので採用試験に有利になることは考えにくいです。
救命士の資格は採用試験で有利になる?
前述の通り、救急救命士の資格が採用に有利になることはほぼありません。
①試験点数が合否に直結するから
②ぶっちゃけ採用後にも取得可能だから
③救命士を求める本部は資格枠として募集する
主な理由はこんな感じです。
要するに採用後にも取得できる機会はあるし、そもそも救命士が不足している本部は「救命士採用枠」として受験者を集います。
そして何より合否を決める上で最も重視されるのは合計得点です。
【消防士の資格】まとめ
・消防士になるために資格は不要
・資格が採用試験に有利になることはない
・総合得点で合否が決まることを理解する
・わざわざ取得資格を増やす必要なし
・でも部署異動には関係してくるかも
・採用後でも資格はゆっくり取りにいける
・しかも公費で取得できる資格もある
・救命士の資格も採用に有利にはならない
・そもそも必要なら救命士枠で募集する
今回は消防士になるために資格は必要なのか、また採用に有利になる資格はあるかと言うことについて解説しました。
また消防士を目指す方へ向けて以下の記事も参考になると思いますので、ぜひご覧ください。
『【倍率20倍合格者が厳選】消防士の筆記対策!参考書ランキング8選!』
『【倍率20倍合格者の戦略】消防士の筆記試験対策を元消防士が解説!』