今回はこんな方へ向けての記事です。
筆者のプロフィール
・元消防士で現在はフリーランス
・Fラン大から倍率20倍消防局に合格
・公務員試験には3回合格しています
消防士の試験対策には誰よりも試行錯誤してきた自信があるので、それなりに参考になる情報が提供できるはずです。
この記事で分かる内容は以下の通りです
・消防士の作文試験で最も重要なこと
・消防士の作文試験の対策法
・作文試験における人事の裏事情
今回は実際に人事担当に聞いた「作文試験の裏側の話」を公開し、ここでしか得られない情報をお届けします。
まず最初に結論です!
①:作文試験で「第一印象」は超重要
②:現役消防官に刺さる内容を書くべし
③:細かなテクニックで細部を仕上げる
それでは詳しく解説していきます!
※本記事で紹介する人事の裏話は全ての消防本部で該当するわけではありません。参考程度にご覧ください。
【消防士の作文試験】人事のウラ話
①パッと見の第一印象で作文をABCにグループ分け
[補足]
Aグループは「良い」
Bグループは「普通」
Cグループは「悪い」
③割合としてはA:B:C=1:7:2
④特に問題がなければAグループは通過
⑤Bグループの作文を吟味して順位付け
⑥Cグループは大幅減点
上の内容は筆者が人事担当から聞いた採点のリアルな裏側です。
どうでしょうか?中々に厳しい現実ですが、人事担当も仕事の合間を縫って採点しているわけで、数百人分の作文を捌くために効率化を求めてしまうのも自然な流れです。
採点者は作文を全部読んではいない
まず前提ですが作文を評価する人事担当は、作文全てを読んでいるわけではありません。理由としては以下の3つです。
・受験者が多いと捌ききれないから
・試験官も時間が限られているから
・時短して採点する必要があるから
これは評価者の立場に立てば分かりますが、採点者にも積もる仕事があり、採点に費やせる時間はそう多くないはずです。
なのでまず作文全体をパッと見て、ザックリと評価をつけてしまう方が合理的であることは頷けます。
まずパッと見の印象でふるいにかける
ズバリ、作文試験の合否は最初のファーストインパクトで大体決まってしまいます。
リアルな話をお伝えしますと、採点者は山積みになった作文用紙をまずサッと読んでABCのグループに振り分けていきます。
そして特に問題がなければAグループの作文は通過させ、Bグループの作文をじっくり査定して順位づけしていくようです。
つまり最初の段階ですでに選別は始まっており、Aグループに入ることを目標として作文試験対策をしていくことが肝になるんですね。
「第一印象」でほぼ決まっちゃう話
数百から数千人まで上るような受験者が多い大規模消防本部では採点に非常に手間がかかるので、極限まで効率化して採点していくことが負担軽減につながるわけです。
とすると、作文の全体像をザックリと見て大まかに「合格」「審査」「不合格」と初めに区別してしまうやり方は納得のできる手段ですよね。
ここで重要なポイントが、なんとしても「審査(Bグループ)」に入るということです。
採点者がじっくりと吟味して採点するグループはBグループの平凡な作文であり、始めの印象でCグループ落ちしてしまうと見向きもされないという結果に終わってしまいます。
【消防士の作文試験】「第一印象」を決める要素4つ
印象が決まる要素①:文字数は十分か
第一印象を決めるうえで最も重要になるのが「文字数」です。
まずもって文字数が規定の量に足りていない場合、大幅な減点または一発アウトになります。
「指定の文字数に達していない」=「課題をクリアできていない」ことになるため、問題に不正解だったことと同義となります。
なので文章がめちゃくちゃでも文字が汚くても良いので、まずは規定の文字数に達することを最優先して作文を作ってください。具体的には指定された文字数の8割を超えるようにしましょう。
また文字数は指定量より多すぎても減点を食らうので、常識の範囲で過不足が過ぎない程度(80~120%)で仕上げる必要があります。
【例】~を1000文字程度で書きなさい
→最低800字、多くて1200字
印象が決まる要素②:段落は適切か
第一印象が決まる要素の2つ目は「段落」です。
一般的に800字程度の作文で適切な段落の数は「3つ」と言われています。
もちろん内容や構成に沿って段落の数が増減することもありますが、多すぎても少なすぎても読みづらいという印象を与えることになります。
ですので作文全体を通して、段落の数は多くても5つ程度に抑えることで読み手に「しっかりまとまってるな」という印象を与えられます。
印象が決まる要素③:文字は綺麗か
第一印象が決まる要素3つ目は「文字の綺麗さ」です。
文字の綺麗さや丁寧さは作文の第一印象を大きく左右する要素の一つであり、そしてその文字には書き手の「性格」が宿ります。
綺麗で丁寧に書かれた文字を見ると「しっかりしてるな」というイメージを与えられる可能性が高まり、反対に字が汚いと「試験なんだからもう少し丁寧に書く努力しろよ…」と思われてしまいやすくなるのも自然ですよね。
「神は細部に宿る」という言葉がありますが、作文を書ききることを最優先した後、書き終えて推敲した後は必ず文字の修正を行いましょう。
印象が決まる要素④:読みやすい文章で筋が通っているか
第一印象が決まる要素の4つ目は「読みやすくて筋が通った文章であるか」という点です。
作文や本、ブログ記事などにも言えますが、読んでいて内容が頭に入ってきづらい文や何かつっかかるような文を見ることがあると思います。
そのような文は「分かりづらい」「理解しにくい」という印象を与えるため、良い第一印象を形作る上で確実にマイナスポイントになります。
つまりそういった読みづらい文章を避け、綺麗できちんと筋が通った文章で作文を作ることが重要です。
【消防士の作文試験】対策法3選
①:現役消防官に刺さる内容を書く
まず現役消防官と受験生には圧倒的な経験や知識の差があることを理解しましょう。
それを踏まえた上で現役消防官に刺さる内容とは、現役の消防職員が納得するような内容です。
具体的には現場活動を通さなければ見えてこない課題や、現職にしか分かることのないハイレベルな知識を作文に組み込んでいくことが有効です。
ここで言うハイレベルな知識とは、消防の道に足を踏み入れていないような素人では分からないような消防知識のことです。
・現場活動
・事務処理
・自治体消防の取り組み
などなど
これは『消防士の面接試験でアピールすると有利なこと5つ』の記事でも解説していますが…
実際に消防署に見学に行って現役の隊員に話を聞いたり、知り合いの消防士がいれば話を聞くなどして情報を仕入れることができます。
業務上の問題点、見えてくる課題などは実際に消防本部で働く現役消防官にしか見えてこない部分です。
つまり普通の受験生では分からないような知識や問題を提起して作文に組み込むことで
「受験段階なのにそんなこと知ってるなんて凄いな」
こんな風に採点者を感心させることができるんですね。
②:全てのテーマに対応できる「文章の型」を暗記
作文試験のテーマは毎年異なりますが、過去の出題例を調べると本質が似通ったテーマが何回も出題されていることが分かります。
・消防官にとって最も重要なことは?
・消防官に求められるものは何か?
・救急車の適正利用を促すには?
・高齢化が進むと消防に浮上する課題は?
・住民の防災意識を高める方法は?
・近年の災害における問題点と対策は?
それぞれ例がありますが、各テーマに共通する部分が多いため論じる事柄を使い回せることが分かると思います。例えば下のような感じです。
[パターン1の場合]
〇消防官に最も重要なこと
→現場は過酷、諦めてはいけない
→根底に人を助けたい気持ちが必要
〇消防官に求められること
→人命にかかわる業務に携わる
→根底に人を助けたい気持ちが必要
[パターン2の場合]
〇適正利用促進の取り組み
→救急安心センターの周知と普及
〇高齢化に伴う課題
→救急搬送の事案が増加
→車両の数が足りなくなる
→救急安心センター普及が有効
[パターン3の場合]
〇住民の防災意識を高めるには
→消防主催で大規模イベントを実施
〇近年の自然災害の問題と対策
→防災意識が低い市民が多い
→積極的な消防イベントの実施
どうでしょうか?ものすごくザックリ、簡単に要点だけまとめてみました。
しかしどんなテーマが出題されても、ほぼ全てに対応が効く「文章の型」を覚えてしまえば、わざわざ頭を抱えて一から作文を作る手間が省けるわけです。
実際に作文を書く時には、要点だけでなくもう少し肉付けしていきますが、このような文章の型のパターンをできるだけ多く覚えることで、効率よく作文を作れるようになります。
また文章の型を多く暗記することで様々な文章の組み合わせが作れるようになり、表現の幅にも広がりが出ますね。
これについては【例文あり】消防士の作文試験で使える消防ネタとテンプレ4選【パクってOK】の記事で詳しく解説しています。
③:消防機関としての取り組みを書く
消防士の作文試験で書く内容は、消防機関が主体となって行う取り組みを書きましょう。
というのも、「それ消防じゃなくて役所の取り組みなんじゃない?」と感じるような、消防の業務と外れた取り組みが本論になっている作文をよく見かけるからです。例えば以下のようなイメージです。
・出生率上昇を促す環境づくり
・子育てと仕事の両立支援
・様々な費用の補助
あくまでも消防士の採用試験ですので、課題に対する解決案は消防機関が主体となる取り組みを論じましょう。具体的には以下のような主張が理想です。
・救急事案増加が予想→「7119」を周知
・イベント等を通して自助の促進
(高齢者は災害死亡率が高いため)
作文を書いている内に段々と主張が飛躍してしまったり、文章全体の構造がぼやけてしまって、消防とかけ離れた対策や取り組みを論じてしまいがちなので注意しましょう。
【消防士の作文試験】注意点
筋が通った文章にする
作文全体を通して筋がきちんと通った文章にしましょう。
繋がりがよく分からない文がないかよくチェックし、誰が読んでも意味が通って分かりやすい作文を作ることを心がけてください。
PREP法とは説得力ある文章が誰でも簡単に作れる書き方のことで「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(具体例)」「Point(結論)」の単語の頭文字を取ったものです。
①Point(結論)
消防士の作文試験で重要なことは徹底的に「第一印象」にこだわることだ。
②Reason(理由)
なぜなら仕事に追われる採点者は全ての作文に目を通しているわけではなく、パッと見の第一印象で合否のふるいにかけているからだ。
③Example(具体例)
実際に採点者は、文字の丁寧さや段落の数、文字数などの第一印象だけで「良い」「普通」「悪い」というグループに、最初の段階で作文を振り分けているのだ。
④Point(再度結論)
したがって消防士の作文試験では第一印象に徹底的にこだわるべきだ。
このように「結論」「理由」「具体例」「再度結論」という順に文を置くことで、とても分かりやすい文になります。
消防士の作文試験においてもPREP法は有効なので、内容が脱線したり無駄が増えてしまいがちな方は、この書き方を意識することで丁寧な構成に仕上げられます。
シンプルで正しい日本語にする
論作文など長文になると、接続語が不適切だったり結局何を言っているのかよく分からない文になりがちです。
また細かな文法の間違いを生む原因にもなります。
ですので意味が分かりづらくなってしまうくらいなら短文に区切って2文に分けたり、あまり凝った文ではなくシンプルで明瞭な文を作るよう心がけましょう。
脳内音読で違和感を感じたら添削
どうしても長文になってしまう部分や、読んでいて何かつっかかるなと感じる文は一度脳内で音読してみるとミスに気づきやすいです。
そして実際に脳内音読で違和感を感じたら、その文には大体何かしらの文法ミスがあります。
なので作文を書き終えたら一度すべて脳内音読で通して読み、必ず添削に充てる時間をつくりましょう。
【消防士の作文試験】まとめ
・作文試験は第一印象が超重要
・現役消防官に刺さる内容で書く
・「文章の型」を覚えて使い回す
・シンプルで読みやすい文章を意識
いかがだったでしょうか?
本記事では作文試験のリアルな裏側を解説しました。
もちろん全ての消防本部で、紹介した評価基準を採用しているわけではないですが、受験者の多い場所ではこのような手段を取っている所もあるということを知っておくべきです。
今回の記事が消防士を目指している方の参考になれば幸いです。本記事は以上となります!