消防士をしていてキツいことや辛いことは何?
危険な目にあう?
24時間勤務はやっぱりしんどい?
今回はこんな疑問を持つ方へ向けての記事となります。
こんにちは、にえふです。
私は地方消防局に勤めていた元消防士で、現在はブログの運営や物販を行っているフリーランスです。
今回は元消防士の私の実体験に基づき、消防士をしていてきついことや辛いことについて解説していきます!
本記事では以下がご覧になれます
消防士のきついこと辛いこと
A.肉体的にというよりも精神的にきついです。
もちろん過酷な現場での活動は体力的にかなりきついですが、それ以上に精神的なプレッシャーによる疲れがしんどいです。
精神的なプレッシャーを感じる3要素
いつ入るか分からない出動指令
消防士のほとんどは24時間勤務になります。
ですので食事中でも仮眠中でも、出動の指令が入れば現場に向かわなければなりません。
運悪く出動が連発してしまうと昼食を取れないまま夜に…なんてこともありますし、入浴中に出動が入ることもあります笑
「食べられるときに食べる」「寝られるときに寝る」が大切になってきます。
また出動は現場についてみないと状況が分からないので、出動中の消防車の中では結構な不安感に襲われます。
例えば…火災のベルが鳴っているのを聞いたことはありませんか?
「火事です、火事です、火災が発生しました…」みたいなアレです。
自動火災報知機やベルが鳴動してしまったときも、消防士はそれを止める・復旧させるために出動するんですね。
大体は報知機の故障や湿度・気温の関係によるベルの誤作動が多いのですが、中には現場に着いてみたら本当に燃えていたなんてこともあります。
ですので、出動中の無線を聞いていればある程度の現場の想像はできますが、実際に自分の目で確認しないことには落ち着けないんですよね。
仲間の命を預かる責任感
現場では隊で活動することになるので、時には仲間の命を預かるような場面もあります。
仲間が梯子を登っている時にはそれが倒れないように支えたり、仲間が煙で見えない建物に侵入している時に緊急脱出の合図を送るのも自分だったり…
危険な現場では隊の仲間の命を握る瞬間があります。
自分がケガをするのならまだしも、自分のミスで仲間がケガをしたり危険な目にさらしてしまうのは耐えられませんよね。
消防学校時代に「現場でミスして、失敗して、挫折してトラウマ背負って辞めていった消防職員なんて山ほどいるんだよ」と教官から言われたことがありますが、まさしくその通りだと所属に戻って痛感しました。
危険な現場では隊員の命を預からなければならないというプレッシャーがあります。
危険な現場がある
消防士である以上、危険な現場に遭遇することは避けられません笑
これも宿命であります。
時には一歩間違っていたら…とヒヤリハットな体験をすることもあります。
私の実体験ですと、燃えてボロボロになった建物の2階で調査をしていた時、床が抜けて下に落ちそうになったことや、建物火災で放水中に目の前に屋根が崩れてきたこともあります。
また今でこそ少なくなってきましたが、一昔前は「火の中に飛び込んで人を救え!」というような無茶を言う隊長がいたりもしました。
もちろん黒煙が少し噴き出ているくらいなら、中に入って人命救助にあたることもありますが、それでも結構怖いですよね…
実際にあった危険な現場
私が実際に体験した危険だった現場を3つ紹介します!
何が燃えているか分からない工場火災
工場や倉庫の火災ってすごく怖いんですよね。
というのも、中に何があって何が燃えているかが分からないから危険なんです。
ガソリンや灯油といった油類や可燃物に引火したらひとたまりもありません。
ですのでむやみやたらに建物の中に入って侵入することはできません。
私が出動した現場は市内でもかなり規模の大きい工場の大規模火災で、侵入口からはありえない勢いで黒煙が噴出していました。
工場の中に巨大扇風機があるんじゃないかってくらいの凄まじい黒煙の風でしたが、中に入って助けを求めているい人がいないか侵入しました。
「ここで終わりかもしれない」と覚悟をもって臨んだ現場でした。
得体の知れないガス漏れ現場
ウィルスや放射線、化学物質などによって発生する災害をアルファベットの頭文字を取って「NBC災害」というのですが、一度だけ化学物質が漏れだした現場に出動したことがあります。
工場から吸ってはいけない有毒性ガスが漏れ出てしまったかもしれないという通報により出動しました。
福島県の原発事故が記憶に残っていると思いますが、NBC災害なんてそうそうあることではありません。
ですので私が実際に向かった現場では、どう解決するのか段取りや計画がしっかり練れていなくて、てんやわんやの状態でしたね。
結局有毒性ガスが漏れていないことが確認できたのでその場で引き揚げましたが、宇宙服のような防護服を身にまとって現場に向かっている時は、ものすごく不安でした。
フラッシュオーバー
燃えている建物内の熱が蓄積して、一気に室内全体が燃えだすことをフラッシュオーバーと言います。
フラッシュオーバーにも兆候はあるのですが、これが原因で毎年少なからず命を落とす消防職員がいるのも事実です。
一部燃えているだけだなと思って建物に侵入して油断していると、一瞬にして部屋全体が燃えだして入り口をふさがれます。
私が出動した現場でもまさにフラッシュオーバーが起こったことがあります。
建物2階のベランダから内部に侵入したとき、普段の様子とは違い黒煙ではなく黄色いような煙が吹いていたんですよね。
異変に気付いた隊長から「今すぐに外に出ろ!」と合図を送られ、外に出た瞬間に室内が炎に包まれました。
あの時に外から客観的に現場を視ている隊長(安全管理者)がいなければ、もしかしたら命を落としていたかもしれません…
今でも身の毛がよだつ体験の一つです。
24時間勤務のしんどいこと
A.24時間勤務は慣れてしまえば楽です。
フルタイムの仕事をしている方にとっては「24時間勤務ってめちゃくちゃ大変じゃん!」と感じるかもしれませんが、やはり体も段々慣れてきます。
休みも多いので、リカバリーが効くことが多いです。
しかしそれではつまらないので、24時間勤務ならではの大変なことを3つ紹介します。
上司との共同生活は気を使う
24時間上司たちと集団生活を強いられます。
多分トータル時間で考えると、家にいるよりも職場にいる時間方が多くなります。
しかも若い人たちは下っ端になるので、とにかく気を使わねばなりません。
消防は気づかいや気配りに物凄くうるさい業界なので、24時間常に「自分にできることはないか?」とキョロキョロ周りを見ながら過ごすことになります。
ですので特に新人の頃は気疲れが半端じゃありません。
家事炊事、その他押し付けられる雑用と自分で気づいた雑用などに時間を取られてしまい、事務処理を始めるのが夜中の日付が変わってからなんてこともありました。
これは新人だけに限らず所属に入って5~6年間はまだまだ下っ端ですので、しばらくは気を使いながら過ごさねばならないのが24時間勤務の大変な点です。
ゆっくり休む時間がない
真夜中の出動や窓口対応など、とにかく眠れる時間が少ないです。
また古い消防署では寝室が個室ではなく集団部屋だったりするので、いびきがうるさい職員がいたりベットが固くて眠れないなど色々な弊害があります。
出動指令もいつ入るか分からないので睡眠の質も下がり、必然的に眠りは浅くなります。
神経質な方だと結構苦労すると思います。
また当然一人の時間を作ることもできませんので、そういった面でも休む時間はありません。
当番の日は家に帰ってぐっすり眠れないので、明けの非番の日に思い切り休むことが大事になってきます。
一日が長く感じる
日勤と比べるとやっぱり一日が長く感じると思います。
繁忙期で気づいたら夕方になっていた…というのならまだしも、特に土日やお盆など、学校や企業が休みの季節は訓練指導や査察がないので暇になります笑
日中の内にすべて仕事が終わってしまうと、もうやることが無くなってしまうんですよね。
ここだけの話、ほんとに飯食べに職場行ってるみたいな感じにもなる時もあります。
一般の方は朝~夕方で帰れるのに対して、消防士は朝~翌朝までが勤務時間になるので、そりゃ長くも感じますね。
まとめ
いかがだったでしょうか?
消防士の仕事は肉体的にきついことはもちろん、精神的にも辛いことがたくさんある仕事なんですね。
特に、命をは張ったり預かったりといった責任感が常にまとわりつくので、そういったプレッシャーも大きく、タフさが求められる職業です。
今回の記事をご覧になって、少しでも消防士の仕事にイメージを持っていただけたら幸いです。
これから消防士を目指す方はぜひ覚悟してくださいね笑
本記事は以上となります!
最後までご覧いただきありがとうございました。